初夏のウルビーノ No.1(ドゥカーレ宮殿) 2012年 162.0×130.3cm 神奈川歯科大学附属病院蔵
ルネサンス期の繁栄に思いをはせる(文=美術評論家・佃 堅輔)
イタリアの小都市ウルビーノは、15世紀に芸術文化の中心地としてその名をはせ、ヨーロッパ各地からたくさんの学者や芸術家たちが集ったという。《初夏のウルビーノNo.2(ドゥカーレ宮殿)》とほぼ同じ構図で描かれる本作は、ルネサンス期の面影を残すドゥカーレ宮殿を、名君主フェデリコ・ダ・モンテフェルトロ公治世下の繁栄ぶりを物語るかのように輝かしく描く。
ウルビーノとは?
丘陵地帯にそびえる世界遺産の街・ウルビーノ。15世紀にルネサンス文化の中心として栄えた芸術の街。ルネサンス建築の傑作と評されるドゥカーレ宮殿は、文化と芸術を愛した軍人フェデリコ・ダ・モンテフェルトロの命によって建設された。内部にはルネサンスを代表する画家・ラファエロやピエロ・デッラ・フランチェスカの作品が展示されている。宮殿の向かいにはゴシック様式とルネサンス様式で建設されたサン・ドメニコ教会。ウルビーノで最も急な坂道の途中にはラファエロの生家があり、内部にはフレスコ画の傑作『聖母子像』が展示されている。