1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

木もれ陽のレストランNo.2(マヨルカ島) 2009年 162.0×130.3cm(F100)

 

光と影、その色合いを凝視する(文=美術評論家・佃 堅輔)

画家ミロは1950年代に母の故郷であるマヨルカ島に移り住み、晩年を過ごした。子どもの落書きをほうふつとさせるミロの作風は、先史時代の人間が洞窟に刻んだ原初的形象に通じる。そのフォルムや色彩は、光あふれるこの地でこそ生まれたものだろう。本作で画家が感じ取ったものもやはり、光に対する影の色や形である。ピンク色の壁に差す木漏れ日の斜線の影や街路樹のしま模様の影。その時間と共に変わりゆく紫がかった色合いや淡い青色の色合いを、画家は凝視している。

マヨルカ島とは?

マヨルカ島は地中海西部のバレアレス海に浮かぶ島で、バレアレス諸島最大の島。先史時代から人類が住んでいた痕跡があり、その後エジプト人、フェニキア人、ローマ人、ムーア人、ユダヤ人、カタルーニャ人と歴史的に異なる文化を持つ民族が住んでいたため、異なる背景を持つ文化行事が行われる。また年間300日以上が晴天という温暖な気候と美しい自然環境から「地中海の楽園」と呼ばれている。スペイン王室が夏の休暇に訪れるロイヤルリゾートとしても有名。ショッピングやグルメスポットが充実しており、世界中から観光客が訪れる。中でも小高い丘の上に広がるバルデモサは音楽家のショパンと、その恋人で作家のジョルジュ・サンドの逃避行先として有名で、ショパンの代表作「雨だれ」もこの地で生まれた。現在も2人が滞在したカルトゥハ修道院には、ショパンが使ったピアノや直筆の楽譜が展示されている。