1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」(コンク) 2011年 91.0×72.7cm(F30)

 

石畳の道沿いに息づく人々の暮らしに思いをはせる(文=美術評論家・佃 堅輔)

フランス各地からピレーネ山脈を越えてスペイン北部へと至る巡礼の路が描かれる本作。巡礼の旅が、人々にとってどんなに困難なことだったかを、私たちは歴史的に知っている。民家に挟まれた細い石畳の道の摩滅した状態に目を留めるならば、巡礼の旅に出た人々の信仰のあつさが証されるだろう。「大地があなた(神)を理解するように/あなたを理解したいのです/あなたを理解するために/虚飾はわたしにはいりません(「巡礼の書」)」とは詩人リルケの言葉だ。画家は確かに巡礼の道を描こうとしただろうが、同時に画家の目を引いたのは右側の石造りの家の外壁を覆う見事な赤いバラと、それと対をなす左側の花壇の黄色い花だったと思われる。これらの花は単に家を飾るものではなく、巡礼者たちを心から歓迎しようとする花でもあった。とりわけバラは、信仰心と教義の純粋さを表象する。長い巡礼の旅で疲れた人々が、この花々を眺め、どんなに心癒やされたことだろう。

コンクとは?

コンクは中世の巡礼路「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」の要所として歴史を刻んできた。手付かずの豊かな自然に囲まれた山間の村で、サント・フォア教会を中心に石造りの家並みが広がる。