1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

古都遠望 シュテファン大聖堂からの眺め (ウィーン) 1999年 油彩 162.0×130.3cm(F100)
神奈川県立横浜氷取沢高等学校蔵

 

音楽の都、ドナウ川流域の景色(文=美術評論家・佃 堅輔)

音楽の都、楽都とも呼ばれるオーストリアの首都ウィーン。モーツァルト、ベートーベン、シューベルトなどの音楽家、心理学者のフロイト、画家のクリムト、エゴン・シーレなど、特に19~20世紀初頭にかけて優れた芸術家や学者を輩出した。本作で、画家はこの都市のシンボル、シュテファン大聖堂を描く。その外観はゴシック様式で、内部の祭壇はバロック様式。12世紀から建造が始まったこの聖堂で最古のものは、13世紀後期ロマネスク様式の正面入り口の門である。オーストリア公ルドルフ4世によって再建された聖堂は、1359年から74年がかりで南塔が完成。ウルム大聖堂、ケルン大聖堂に次いで、世界で第3番の高さを誇る。北塔は、オーストリア最大のプリメンと呼ばれる鐘がつるされている。塔の上からは、10色も使ったタイル造りの屋根や、オーストリア・ハンガリー帝国の「双頭の鷲」絵図の屋根も見られる。画家は塔を画面の中央に置き、右手のタイルの屋根の模様を克明に描写しながら古都への遠望を試みている。ウィーンならではの景色である。

ウィーンとは?

モーツァルトやベートーベンらが活躍し、「音楽の都」として名高いオーストリアの首都ウィーンは、シーレやクリムトによって世紀末芸術が花開いた都市として知られている。ゴシック様式のシュテファン大聖堂の展望台からは、世界遺産に登録されている旧市街地が見渡せる。