1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

カルカータの路地 1988年頃 130.3×162.0cm 川崎市市民ミュージアム蔵

 

旅人として感じ取る光景(文=美術評論家・佃 堅輔)

カルカータは、エトルリア人が断崖絶壁の上に作った街。冬になり霧がかかった時には、街が雲の上に浮かんで見えるため、宮崎駿監督のアニメーション映画作品『天空の城ラピュタ』のモデル地になったとも言われている。本作は、カルカータの風景の中で、生活の匂いを感じさせる。夕暮れ時であろうか。白壁の家々の左隅の階段を上った入り口のところに、ホウキらしき物を手にした白髪の老女が立っていることに気付く。この作品と、人け無き森閑とした路地裏を描いたものと比べるとき、画家が旅人として感じ取る生の哀愁が、夕暮れの深まりゆく中からにじみ出る。

カルカータとは?

断崖絶壁の上に作られた街・カルカータ。1930年代に崖が崩落する危険性があるとして、避難勧告が出され一時は廃墟となっていたが、解禁後、活気を取り戻した。