プーラ円形闘技場 2019年　油彩　130.3×162.0cm（F100）

 

克明な描写（文=美術評論家・佃 堅輔）

クロアチア北西部のイストラ半島先端のプーラにある古代ローマ時代に造られた円形闘技場。長辺132.5m、短辺105.1mの建造物が持つ造形美への画家の強い関心がうかがえる。丹念に描いているが、背景となる空をブルーひと色でフラットに塗ることによって、古代という時代が時空を超えてモダンに甦る。

プーラとは？

イタリア半島とバルカン半島に挟まれたアドリア海の入り江の奥にあるイストラ半島。アドリア海に面して中小の漁村を持ち、交易で栄えた町や村がある。大規模な観光地や商業・観光都市はないが、中世の面影を色濃く残す地域が多く、世界各国から観光客が絶えない。中でもプーラは古代ローマ時代の建築物が数多く残る街として有名。特にシンボルとなっているのが1世紀ごろに建設されたプーラ円形闘技場。かつて闘技場として使われていたが、現在はコンサートや映画祭の会場として活用されている。