1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

世界遺産「エウフラシウス聖堂」(ポレッチ) 水彩 52.0×38.0cm

聖堂内部の克明な描写(文=美術評論家・佃 堅輔)

初期キリスト教が広まったポレッチに建てられたエウフラシウス聖堂は、初期ビザンティン美術の傑作。画家はこの聖堂に正面から取り組んでいる。後陣上部の凱旋アーチにあるモザイクはキリストを表し、彼に伴われる使徒たちは上部のアーチに、聖母子は後陣上部のヴォールト(ドーム型丸屋根)に描かれている。これは初期キリスト教の西方教会において現存する聖母子の描写。後陣の窓の両側には受胎告知(左側)と聖母マリアの訪問(右側)というふうに、画家は聖堂内部を克明に描いている。だが、宗教的雰囲気の中にあっても、赤い床の色彩に見るように画家の感覚は明るく爽やかだ。アドリア海の大気と光にいざなわれた旅人/画家の悦びがある。

ポレッチとは?

イタリア半島とバルカン半島に挟まれたアドリア海の入り江の奥にあるイストラ半島。アドリア海に面して中小の漁村を持ち、交易で栄えた町や村がある。大規模な観光地や商業・観光都市はないが、中世の面影を色濃く残す地域が多く、世界各国から観光客が絶えない。中でもポレッチは、ローマ時代に造られた港町。中心部に城塞が建てられローマの植民都市として発展した。町のシンボル「エウフラシウス聖堂」は、初期キリスト教の面影を残す貴重な世界遺産。