サントリーニ島 水彩 112.3×160.0cm 神奈川県立横浜栄高等学校 蔵
エーゲ海の景観を際立つ画力で魅力的に描写(文=美術評論家・佃 堅輔)
テラスから眺望した景色を描いたこの作品のポイントは、白と青の魅力に尽きる。画面構成に注目すれば、まず白い円テーブル、青い手すり、淡いピンク色の壁の向こうには左に白い教会、右に白い家並みが広がる。しかし特筆すべきは、白い教会の丸屋根の青さと白い小さな十字架が、そのまま深く溶け込んでゆく海の青さの広がりだろう。
サントリーニ島とは?
サントリーニ島はギリシャ南東部のエーゲ海に浮かぶ、三日月型の小さな火山島。断崖に立ち並ぶ白壁の家々とブルードーム(青い屋根)がシンボルとなっている。サントリーニやミコノスなどの島では、建築材料になる木材が手に入りにくく、その代わり漆喰の材料となる石灰石が豊富にあったため、ショップもホテルも教会も建物は全て白い漆喰で塗られている。白く塗ることで熱吸収を低くし、エーゲ海の日差しから家を守る効果があるのだという。イア要塞はオレンジ色に染まるイアの街と海に沈む太陽がセットで望める夕景スポット。世界一美しい夕日ともいわれており、世界中から多くの観光客が訪れている。