マッジョーレ湖とベッラ島を望む 2007年 油彩 90.0×72.5cm 東京歯科衛生専門学校蔵
風景美への旅―視線により広がる世界(文=美術評論家・佃 堅輔)
明で明るい光が画面いっぱいににじみ渡りゆく、さまざまな風景。風景対象への視線は、確かに画家・垣内宣子の個性的感覚の表れであり、その作品群を眺める私たちの視線もまた、限りなく開示されてゆくのだ。本作は、赤い花にポイントが置かれ、窓辺の円テーブルと椅子からは、人々が語り合った時間が余韻となって流れる。窓枠の太い縦の線が、湖畔へのパースペクティブと絵画構成を引き締めている。
マッジョーレ湖とは?
マッジョーレ湖は、イタリアからスイスにまたがるアルプスの険しい峰々の麓に広がる静かで落ち着いた湖。湖畔には別荘や高級ホテルが立ち並び、山間ながら洗練された地中海的リゾートの雰囲気を味わえる。玄関口となるストレーザは、モッタローネ山の麓に位置し、高級保養地として名高く、多くの著名人や文化人、芸術家を魅了してきた。