1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

リスボンの街並み 1980年 油彩 112.0×145.5cm(F80)

 

移りゆく光が映す情景に、ポルトガルの歴史を重ねて描く(文=美術評論家・佃 堅輔)

世界都市と見なされるポルトガルの首都リスボンは、西ヨーロッパ最古の都市としてローマより古く、紀元前1200年にさかのぼる長い歴史を持つ。ポルトガルは古代にはローマ帝国、中世にはゴート人、イスラム勢力の支配を受ける。その後、12世紀にローマ教皇の承認により、ポルトガル王国が成立すると、キリスト教勢力は十字軍の支援を受けて、イスラム勢力から再びリスボンを奪還する。近世に入ると、大航海時代の波に乗り、世界中へと遠征隊を派遣し、植民地をつくった。そして、その交易によって大きく繁栄した。本作は、迷路のような街並みから、高台の城壁に取り囲まれた四角形の要塞、サン・ジョルジェ城を眺望したもの。要塞の北西には、中世の城があった。街並みのふぞろいの家々が面白く、これも歴史を物語っている。

リスボンとは?

坂の多い起伏に富んだ地形から「7つの丘の街」と呼ばれているポルトガルの首都リスボン。1755年の大地震で多くの建物が崩壊したが、奇跡的に免れたアルファマ地区は、かつての街並みがそのまま残っている。市内で一番高い丘の上には紀元前から存在しているといわれるサン・ジョルジェ城がそびえ立ち、赤茶色の屋根が広がる街並みを見下ろしている。