1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

美しい村 ピランのタルティーニ広場 2019年 油彩 130.3×162.0cm(F100) 川崎市立大戸小学校蔵

 

スロヴェニアへの旅がもたらした成果ーそのまなざしの悦楽(文=美術評論家・佃 堅輔)

かつて神聖ローマ帝国の一部だったスロヴェニアのピランを描写。ブルーひと色のピラン湾に沿って赤い屋根が連なる色彩豊かな「美しい村」を画家は俯瞰する。村の中心には、ピラン出身の作曲家であり、バイオリン奏者のジュゼッペ=タルティーニ(1692年~1770年)の銅像が建つタルティーニ広場とそれを取り囲む建造物が二重の環のようなコンポジションを形作りながら、海へと、さらに遠くに見える半島へと、パースペクティブにまなざしを導いてゆくのである。

ピランとは?

スロヴェニアはバルカン半島にある小さな国。かつてヴェネツィアの支配を受けていたため街並みはイタリアをほうふつとさせる。ピランは中世からバロック時代の街並みがそのまま残されている風光明媚な港町。ピラミッド型の結晶が特徴の「塩の花」と呼ばれる幻の塩の産地として有名。18世紀に活躍した「悪魔のトリル」の作曲家でバイオリニストでもあるタルティーニの出身地としても知られている。街の中心にはタルティーニの名を冠した広場があり、その一角にある生家「タルティーニハウス」には、バイオリンなどが展示されている。小高い丘の上にたたずむ聖ユーリ教会は、1344年に建てられたが、1637年にルネサンス様式やバロック様式を取り入れた現在の外観に改築。鐘楼からは赤い屋根が連なるピランの街並みと紺碧のアドリア海が望める。