ミノーリ(アマルフィ) 2018年 90.0×72.7cm
アマルフィの陽光と歴史の跡を色彩豊かに留める(文=美術評論家・佃 堅輔)
本作は、アマルフィを取材で訪れた画家が、レストランが並ぶ街角の路地に置かれた大きな壺に花々が生けられているのを目に留め描いた作品。青紫っぽい色調の壁を背景にした赤い花々の濃密さと、金属製の枠組みに支えられる壷の量感的な存在感。その下方の石畳には、くっきりと濃い紺色の影が落ちていて、イタリアの陽光の強さを感じさせる。色彩効果が計算され、その色彩の区分が画面を構成的に引き締める。
アマルフィとは?
「世界一美しい」といわれる海岸で有名なアマルフィ。約40kmにわたる海岸線には、切り立つ岸壁やつり橋、そそり立つ塔、漁村群など見事な眺望が続く。標高約350mの高台に位置するラヴェッロの街は、音楽家ワーグナーゆかりの地であり、音楽の街としても知られている。毎年夏には音楽祭が開催され、メイン会場となる庭園「ヴィラ・ルーフォロ」のテラスからはサレルノ湾やアマルフィ海岸が見渡せる。