アルベロベッロ(南イタリア) 2001年 油彩 162.0×130.3cm
第40回大調和展 会員努力賞、自由民主党本部国際局蔵
世界遺産の景観を絶妙な視点で捉える(文=美術評論家・佃 堅輔)
なんという大胆な構図であろうか。白壁に円錐形の石積み屋根を載せた「トゥルッリ」と呼ばれる伝統的な家屋が立ち並ぶこの景観は「アルベロベッロのトゥルッリ」として世界遺産に登録されている。その景観を斜め上方から絶妙な視点で捉え、シュールな味わいさえ感じさせる本作品は、今年3月(2016年3月)に自由民主党本部 国際局に収蔵されている。
アルベロベッロとは?
アルベロベッロは、オリーブで有名な農村地帯にある人口1万人ほどの小さな村であり、この地方のみで見られる「トゥルッリ」と呼ばれる伝統的な家屋が約1500軒あることで有名。白い漆塗りの壁に円錐形の石積み屋根を載せたトゥルッリの内部に玄関や廊下は無く、部屋ごとに屋根があり、それが幾つもつながって一軒となっている。メルヘンチックな外観のトゥルッリが立ち並ぶリオーネ・モンティ地区は、まるでおとぎの国のようであり、そこにはトゥルッリでできた「サンタントニオ教会」もある。トゥルッリは現在も家屋や店舗として使用されており、実際に宿泊ができるものもある。2階建てで大型の「トゥルッロ・ソヴラーノ」(“君主のトゥルッロ”という意味)は、領主の居城、礼拝堂、僧院、薬局など、さまざまな役割を果たしてきたが、現在は博物館として解放されている。アルベロベッロは、日本の世界遺産「白川郷」がある岐阜県白川村と姉妹都市である。