シエーナ遠望 No.2 2017年 油彩 162.0×130.3cm 川崎市立小杉小学校蔵
中世の自由都市の面影を俯瞰的視座で切り取る(文=美術評論家・佃 堅輔)
中世には金融業で栄え、13世紀から14世紀に最盛期を迎えたイタリアの都市国家シエーナは、ルネサンス期にはフィレンツェと並んで芸術の中心地だった。アーチ型の窓から眺望される風景は、今も変わらず当時の面影を残しており、窓枠はその歴史的な風景の一部分を切り取っている。
シエーナとは?
中世の美しい街並みがそのまま残るシエーナは、街全体が世界遺産に登録されている。「世界一美しい広場」と称えられている扇形のカンポ広場には、トスカーナで一番高いマンジャの塔がそびえ立つ。シエーナ大聖堂は13~14世紀にわたりゴシック様式を用いて建設された。