1. 垣内宣子《セザンヌのアトリエ(エクス・アン・プロヴァンス)》

    ごあいさつ

  2. 垣内宣子《バルト海クルーズ》

    略歴

  3. 社会貢献活動

  4. 出版物

シエーナ遠望 No.1 2017年 油彩 162.0×130.3cm 川崎市立小杉小学校蔵

 

中世の自由都市の面影を俯瞰的視座で切り取る(文=美術評論家・佃 堅輔)

スカーナは紀元前3世紀にローマ化し、中世に自由都市フィレンツェが繁栄し、ルネサンスの中心地となった。その中でもシエーナは、カンポ広場を中心に14世紀のプブリコ宮殿、イタリア・ゴシックの粋を成すドゥオーモ(イタリア語で街を代表する教会堂のこと)などルネサンス様式の教会や宮殿が多い。画家は、こうしたシエーナの風景を俯瞰的に遠望する。本作で描かれたドゥオーモは、ひときわ鮮明な赤い屋根の家々に取り囲まれながら、空の青さと、なだらかな丘陵地帯の濃い緑を従え、荘厳な白い輝きを一層放っている。垣内宣子の作品群は、私たちをその風景へといざないながら、風景空間のただなかに存在させる。

シエーナとは?

中世の美しい街並みがそのまま残るシエーナは、街全体が世界遺産に登録されている。「世界一美しい広場」と称えられている扇形のカンポ広場には、トスカーナで一番高いマンジャの塔がそびえ立つ。シエーナ大聖堂は13~14世紀にわたりゴシック様式を用いて建設された。