ブダ地区よりドナウ川対岸の国会議事堂を望む(ブダペスト) 1997年 油彩 72.7×60.6cm(F20)
歴史を語る都市(文=美術評論家・佃 堅輔)
本作はドナウ川対岸の国会議事堂を眺望したもので、こちらは自国の伝統の中に建築のモデルを見出そうとするゴシック・リバイバル建築である。画家は様式の異なるさまざまな建造物を、デッサン力によって調和的に捉えている。
ブダペストとは?
ハンガリーの首都ブダペストは、ブダ城や漁夫の砦など歴史的建造物が残る西側のブダ地区と、国会議事堂などがある東側のペスト地区が1873年に合併し誕生した。2つの地区の間には、夜に点灯された電球が鎖に見えることから「鎖橋」と呼ばれるセーチェーニ橋が架けられている。アンドラーシ通りは世界初の電気運転の地下鉄が通っており、ドナウ川周辺とともに世界遺産に登録されている。